デジタル化による新たなる価値の創造
私は平成5年生まれですが、小学校の社会の時間には日本の経済低迷に関して「失われた10年」といった言葉を聞き、大学に入る頃には「失われた20年」、そして今では「失われた30年」となってしまったとする向きもあります。平成の30年間のうちに世界時価総額ランキングtop50の日本企業が32社から1社のみになってしまったという事実があります。一方で、これら日本企業の時価総額の平均は成長しています。つまり、失われた30年の実態は、「日本企業は成長していたが世界の成長についていけていなかった」ということになります。
最新の時価総額上位の企業はソフトウェアで収益を上げている企業が多く、テスラやアップルに代表されるような企業価値を急速に向上させている企業はものを作っていても利益の源泉はソフトウェアにあるとされています。このようにビジネスの世界でゲームチェンジが起こっている世の中で生きていく私たちには、今必要なスキルや差別化ポイントだけでなく、10年後も必要とされる普遍的なスキルを身につける必要があります。
リアルな現場のデジタル化
近年一般ユーザーが使っているWEBアプリケーションは利便性が高く、契約から利用・支払いまで基本的にオンラインで行われます。また、ユーザ情報や利用ログ等が蓄積されることにより、更に使いやすくなるといった好循環のもと開発が続けられています。例えば、iPhoneでメールを受け取ると自動でカレンダーに追加してくれますし、Googleドキュメントで文章を打っているとスペルミスだけでなく文法ミスまで修正してくれる便利な世界になりつつあります。Netflixがおすすめする番組はTSUTAYAでランキングから選んでいた時代よりはるかに良い選択をしてくれていると感じます。
一方で、リアルの現場のデジタル化はこれからです。自動化された工場でも材料の選定・製造・組立・検品・出荷といった各工程で人の知見や作業を必要とするポイントが節々に存在します。例えば、IoT化された工作機械が導入された先端的な工場でも、その工作機械を使わずにリフトやクレーンなどで移動させる工程・人がラッピングする工程などが挟まることで、IoTの情報により「見える化」されている作業は一部であるといった状況は無数にあります。
このようなリアルの現場のデジタル化をすすめる鍵はこれまで人間が行っていた画像データを主とした様々な定形・非定形データの処理をDeep Learningを始めとした先端デジタル技術によって代替していくことだと考えています。
ビジネス起点の技術提案
Lightblueが提供するデータ解析ソリューションは、Deep Learningをはじめとした画像解析や時系列解析という要素技術を組み合わせて提供されています。これらの先端デジタル技術は従来の人間の仕事を置き換える潜在力をもっており、感染症拡大という未曾有の事態となった2020年においても期待やニーズは衰えていません。DX関連のウェビナーを開催すると他のテーマの2倍以上参加者が集まるなど、デジタル化・デジタルトランスフォーメーションの必要性を感じている経営者は増えています。
一方で、従来の予測精度を高めるだけの提案はAutoMLなどの登場やデータ分析人材の増加により相対的な価値が減少しています。現在求められているデジタル化とは単なる機能の置き換えのことでなく、デジタル化しつつビジネス上の価値も向上させる必要があります。これは技術者だけでなく営業でも重要なことです。シーズを提案するだけでなく、リアルな現場のどこをデジタル化させるとコストが削減できるのか、あるいはビジネスが変化させられるのかといったことを考える論理的思考力が必要になります。